各地の獅子舞歌 

各地の獅子舞歌


 現地を訪れたものの中で歌詞が分かったもの(歌本を見せて頂いたもの)ですが、確認できなかったものについては石川博司氏の「多摩のあゆみ」から引用させて頂きました。 神奈川県牛込の獅子舞、千葉県平岡の獅子舞、檜原村数馬の獅子舞については、歌詞を確認できませんでしたので載せていません。
 ※歌詞の写し間違いや誤字脱字があるかも知れません。また数字は便宜上振っただけで、この順番に歌うというものでもありません。

歌詞から分かること

日本の各地に伝わる三匹獅子舞(一人立ち三頭獅子舞)が、もし生物進化の系統樹のように大元から分岐し枝分かれしていったと考えるならば、獅子舞歌の歌詞にもその痕跡が残されている可能性がある。
高水山の獅子舞歌でいうならば、表の赤色で示されるものと似た部分を持つ歌は非常に広範囲に分布している。4の「… 黄金小草が足にからまる」  10の「廻れや車…関に止る…」 12の「我が国で雨が降るげで雲が立つ …」  13の「思ひもかけぬ朝霧が降りて…女獅子が隠された…」  等は、はるか離れた地でも歌われており、三匹獅子舞が創始された初期の頃の歌を引き継いでいる可能性が高い。
 一方、5の「水ゆえに奥の朽れ木が流れ来て 今はよしない志もつまの橋」   6の 「志もつまの橋にかくるも縁でそろ 後に残りしうらき恋しや」  15の 「八つ連れが尾鰭揃いで行く時は さても館は名所なるもの」  17の 「これのお堀へ来て見れば さても見事な鯉の八つ連れ」  の歌については、大丹波・高水山・下名栗の3カ所にのみ見られる歌であり、3カ所の近縁さを証明するものでもある。
 また、3の 「武蔵野に月の入るべき山もなし 尾花隠れに曳けや横雲」  16の 「この獅子は悪魔を払ふ獅子なれば あまり狂ふて角なもがすな」等は近隣の獅子舞で近い歌詞が見られるので、これらの獅子舞同士はある程度近い系統の獅子舞とも考えられるのではないだろうか。特に「悪魔を払う獅子なれば…」の歌がある獅子舞には、太刀懸り(白刃)等の演目も持つことが多いような気がする。
 獅子舞の系統を調べるには、演目、芸態、笛とともに歌からもアプローチできそうである。歌詞は文字情報でもあるので、笛や演目・芸態の違いからよりも取りかかりやすいように思われる。

地区(神社・寺)と獅子舞歌
地区(神社・寺) 獅子舞歌の歌詞
東京都青梅市 成木
高水山 (常福院)
1 これの御門へ来てみれば たたみ築地で建てた門かな   2 この寺は飛騨のたくみが建てたげで 楔一つで四方固めた   3 武蔵野に月の入るべき山もなし 尾花隠れに曳けや横雲   4 これのお庭へ来て見れば 黄金小草が足にからまる   5 水ゆえに奥の朽れ木が流れ来て 今はよしない志もつまの橋   6 志もつまの橋にかくるも縁でそろ 後に残りしうらき恋しや   7 これのお庭の牡丹の枝を 一枝たおめて腰を休めろ   8 磯村の宿の娘に目がくれて 居るにゃ居られずいざや立たいな   9 これの古木が実をもちて 黄金あしだで壺をながめる   10 廻れや車廻れや車 早く廻りて関に止るな   11 これの館の殿様は 今が盛りとうちみえて 黄金あしだで壺をながめる   12 我が国で雨が降るげで雲が立つ お暇申していざや友達   13 思ひもかけぬ朝霧が降りて そこで女獅子が隠されたよな   14 天竺のあいそめ川のはたにこそ しゅくせ結びの神たたれたよ 真のしゅくせの神ならば 女獅子男獅子を結び合せろ   15 八つ連れが尾鰭揃いで行く時は さても館は名所なるもの   16 この獅子は悪魔を払ふ獅子なれば あまり狂ふて角なもがすな   17 これのお堀へ来て見れば さても見事な鯉の八つ連れ   18 日は暮るる道の女笹に露がいる お暇申していざや友達  
東京都青梅市 成木
大蔵野 (熊野神社)
 1 この宮は七里が御坂皆花で 花の光でお宮輝く    2 恵方はともあれかくもあれ 雄獅子雌獅子が肩を並べて大雄も    3 思いもよらぬ朝霧がおりて そこで雌獅子が隠されたよな    4 奥山の松にからまる蔦木の 縁がつきればほろりほごれる    5 月も日も西へ西へとお入あう お暇申して返れ友達    6 この宮はなんたる者が建てたる宮か 四方四面に楔が一つ    7 この殿は今が盛りと家見れば 四方なげしに槍が千筋    8 回れや車水車 雄獅子雌獅子が関に止る大雄
東京都青梅市 野上
(春日神社)
 1 廻りは車、水車、遅く廻りて関止まり    2 この社守は飛弾の工にくみあげて飛弾の工の細工なり、あまり高きに建ちすぎて落ちる木の葉がのきにとまらん    3 思いもよらぬに、朝霧がおりて雌獅子、雄獅子がかくされた    4 人はともあれ、かくもあれ、雄獅子、雌獅子がかたならべ    5 奥山の松にからまる、ツタに葉も縁がつきれば、ほろり、こぼれる    6 この獅子は伊勢の生まれで伊勢に育ち、腰にはらいをさし給う    7 道の根ざしに露が明けて、おいとま申して関止り    8 月も日も西へ西へと、おい入やるを、おいとま申して帰れ、ともだち    9 この庭はたてへ十五里、横へ七里、入場よく見て出場にまような   
東京都青梅市 沢井
(八雲神社)
 1 さても見事やこの宮は 飛騨の匠の建てた宮 楔一つで四方固める   2 この獅子は伊勢で生まれて伊勢育ち 腰に差したは伊勢の御祓い   3 回りや車水ぐるま 早く回りてせきに止まろな    4 富士の御山のてかけ松 一枝もろおて腰を休める    5 松山の松に絡まるツタの葉も 御縁が尽きろばほろりほごれる    6 十七が腰に付けたる二つ玉 一つもろおて恋の薬に    7 はるばるとこれのお庭に来てみれば 黄金小草が足へ絡まる    8 唐からくだりた唐絵の屏風 ひとえにさらりとひけや横雲    9 思いもかけのに朝霧が降りて そこで婦獅子が隠され申した    10 雲を霞と吹きはろう 婦獅子雄獅子が肩を並べた    11 月も日も西へ西へと追いにやる おばなの隠れにひけや横雲    12 この獅子は悪魔をはろう獅子なれど あまりせくとて角をもがれた    13 日は暮れる 庭のみしばへ露が降りて おいとま申していざ帰りゃんせ
東京都あきる野市 山田
(八幡神社)   
1 廻れや車廻れや車 車の如くに引きまわさよな    2 此の森に鷹が住むけて鈴の音 鷹じゃござらぬ御神楽の音    3 日も暮れる獅子の目さだに露がおりて おいとま申していざかいらいな   4 此処はどこ此処はどこ 吉野の花 花を散らして遊べ獅子ども    5 まいり来て是の御庭を見もうせば 黄金小草がすそにからまる    6 是のお庭のひめこ松 一枝たぐめて腰を休めろ    7 海のと中の浜千鳥 波にゆられてぱいと立ち候    8 三拍子のきりならば 今の拍子をきり返ひさよな    9 思ひもよらぬに朝霧がおりて そこで女獅子が隠されたよな    10 嬉やの風がかすみを吹き上げて 女獅子雄獅子の肩をならせろ    11 まいり来て是の御門を見もうせば 小金とびらが光り輝く
東京都あきる野市 瀬戸岡
(神明社、珠陽院、瀬戸岡会館)   
1 こーれのお庭に 朝霧が降りて そこで牝獅子が隠されたよな    2 天竺天の愛染め河原のはてにこそ 祝せ結びの 萩の葉をたぎる 誠に祝せの神なれば 牝獅子牡獅子を結び合はせる    3 立つ鷺のあとを惜しめば 立ちかねる 水をならしやで 立つがしらさぎ    4 ひとつはねろやキリギリス 続いてはねろや 萩の葉をたぎる    5 鹿島のばさまむらむら雀 羽先を揃えて切りかへさいな    6 あん岳にて雨が振りそで雲が立つ お暇ま申していざかへさいな    7 回れや車 車の如くに 引き回されて 京から下りた唐絵の屏風 一重にさらりとひきはなされて    8 参り来て この社を見渡せば 森も林も 皆鈴虫の声    9 朝日さす 夕日輝くこの寺に 桜色なる 稚児が七人   
東京都奥多摩町 日原
(一石山神社)
 1 参り来てこれのお庭を眺むれば 黄金小草が足にからまる    2 奥山で笛や太鼓の音がすれば 女獅子雄獅子が肩を並べる    3 あれみさい月が山端に腰かけた 月の夜盛りに渡れ獅子殿    4 日は暮れる道のめざさに露がいる いざや我等も花の都へ    5 この宮は飛騨の匠の建てた宮 楔一つで四方かたまる    6 この宮は九軒八棟ひはだ葺き ひはだ破れて黄金うわぶき    7 おん館黄金造りとうち見れば 金の屏風でお座が輝く    8 この庭は縦が十五里横七里 いれは良く見て出はに迷うな    9 十余七の胸に持ちたる二つ玉 一つくれさい恋の薬に    10 七つから国をめぐりて見たけれども 四本がかりがこれが名所かな    11 身は此処に妻は上総の丸山に なんぼとめても心とまらぬ    12 十余七の立ちた姿は糸柳 切りてはなせばよれて絡まる    13 此処はどこ 此処は都の車橋 しどろかどろで渡れ獅子殿    14 奥山の松にからまる蔦の葉は 縁がつきればほろりほごれる    15 あれ見さい雨が降りそで雲が立つ おいとま申していさかいさいな  
東京都奥多摩町 大氷川
(奥氷川神社)
 1 唐から降る唐画の屏風 たんだ一重にひきまをさいな    2 太鼓のどうをきりとしめて ささらをさらりとすりかえさいな    3 雨が降りそで雲が立つ おいとま申していざかえさいな    4 来たり来てお宮の樹を見てあれば 八棟作りのこけらぶき    5 此の森に鷹がすむそで鈴の音 鷹じゃないもの御神楽の音    6 鳥居垣にこけ生えて 詣る氏子も息災なるもの    7 この宿は縦十五里横七里 入れ場よく見て出場に迷うな    8 うれし山きりと霞をかきわけて 男獅子女獅子が肩をならべた    9 此処はどこ此処はまりこの宿なれば 三つのまりにて遊べ獅子どの    10 ここは何処此処は吉野の花の中 花を散らして遊べ獅子どの    11 うれし山霧と霞をかきわけて 男獅子女獅子が肩を並べた    12 山が八つ谷が九つ是は又 御前御出での御礼なるもの    13 やまがらが山をはなれて里へ出て これの御宮でもどり切り候    14 おぼこ達吾等が国から文がきた 開いて見たればポイとかち候    15 こけの上に生えたから 松から松も千年の立ちてましさば 君の御代こそ目出度かりけり    16 来り来て御庭の掛りを見てあれば 黄金交りの白砂を布く    17 来り来て是の御門を押し開き 入りて見たれば唐の御門かな    18 是の御庭の姫小松 一枝たゆめて腰を休めり    19 海の濤中の浜千鳥 波にゆられてポイと立ち候    20 三拍子のきりりの山 今の調子を切り変へさいな    21 鍵取りが庫の出口で昼寝して かぎを枕に米を踏へて    22 この宿はよい日よいっつき経ちたげに 月に六度の米が降り候    23 思いもよらぬ朝霧が降りて そこで女獅子が隠されました    24 この獅子はいかなる獅子と思召す 悪魔をはらいし獅子なれば 世国の人に角をもがれぞ  
東京都奥多摩町 小留浦
(山祗神社)
下九沢と類似のもの
下九沢と少し似たもの
1 京から下る唐絵の屏風 たんだひとえにひきまわさいな    2 ここはどこ ここは高天が原なれば 氏子集り今日のお祭り    3 此の男の今が盛りと見えて候 表長屋に槍が五千本    4 太鼓の胴をきりりとしめて ささらをさらりとすりかえさいな    5 此のお庭の姫小松 たんだひとえにひきまわさいな    6 かぎ鳥が宮の出口で昼寝して 鍵を枕によねを踏いて 此の森に鷹がすむげて鈴の音 鷹じゃないもの 御神楽の音    7 此の宮は飛騨の工匠の建てて 四方長押にはすのゑしもの    8 五千本の槍を持たせて行くならば せじう七日のこれのごじもん    9 みとばが宮の長押に巣をかけて 法華経やま経を空で読候    10 山が八つ谷が九つこれは又いせんおいでのお礼なるもの    11 此の男の今が盛りと見えて候 二階座敷で壺を眺むる    12 鳥居垣に苔生えて 参る氏子も末繁盛息災なり    13 此のお庭の姫小松 一枝たおめて腰を休ませろ    14 海の途中の浜千鳥 波にゆられてぽいとたはち候    15 三拍子のきりならば 今の拍子をきりかえさいな    16 廻れや車廻れや車 くるりとくるりとひきまわさいな    17 娘達文が来て候 文からば読んで見たればほいとかはれた    18 ここはどこ ここは吉野の花の中 花を散らして遊べ獅子どの    19 雨がふりそで雲が立つ お暇申していさかいさいな    20 千本松 万本小竹に注連張りて 氏子集まり今日のお祭り    21 嬉やの雲と霞を吹き払い 女獅子雄獅子が肩をならべた    22 思いもかけぬ朝霧が降りて そこで女獅子が隠された    23 此の獅子は如何なる獅子と思召す 悪魔を払ふ獅子なれば 余りせごくで角がもげ候    24 山雀が山を離れてやつれて このお庭で戻来候
神奈川県相模原市 下九沢
(御獄神社)
小留浦と類似のもの
小留浦と少し似たもの
1 なりをしずめておききやれ われらささらの うたのしなさけ    2 このみやは なにたるだいくがたてたやら しほうしめんに くさびひとつで    3 みなみなもうせば かぎりなし たいこはやめて あそべともだち    4 まわれやくるま つづいてまわれ おそくまわれば せきどをとまる    5 きょうからくだる からゑのびょうぶ ひとえにさらりとたてもうさいな    6 つくばねのみねよりおつる みなのがわ こいぞつもりてふちとなりける    7 このごろは まいろまいろとおもへども はしはひきはし とぶにとばれぬ    8 つきもひも にしゑにしゑとおいそぎやる いざやわれらもあれをみまぬけ    9 たいこのひょうしに おにわのひょうし ひょうしをそろゑて みせもうさいな    10 ひとつを すどいそ のうからや    11 くにからわ いそげもどれとふみがくる おいとまもうして ぞそもうさいな    12 たいこのどうをさらりとしめて おにわでささらを すりとをとめた   
東京都奥多摩町 川井
(八雲神社)
1 あの奥山の鳴る神立ちのお出でやる 拍子を鳴るごとよな    2 切りを切りをと攻められて 今の拍子を切りかえさいな 又も切るのは三拍子よな    3 わが国で雨がふりそで雲が立つ お暇申していざ帰らいな    4 鹿島から鹿島の宮の轡虫 鳴りを静めて唄の節きりよいな    5 春の梅のつぼみが開き 風一吹きさらよいな 我等がササラは鹿島きりぶしよいな    6 鹿の子が生まれ落ちてから踊りに出る あれを見真似にいざ踊らいな    7 つばくろのとんぼ返りはおもしろい あれを見まねにいざかへらいな    8 松山の松に絡まる蔦の実は 縁がつきればほろりほごれる    9 思いもよらぬに朝霧がおりて そこで雌獅子が隠されたよな    10 さいだ河原のげたの橋 橋はひきはし飛ぶに飛ばれぬ    11 山雀が山に離れてやつつれて これのお庭でもどりきりそろ    12 この宿はたてが十五里よこ七里 いりはよくみて ではにまような    13 はしりより御門がかりを見てあれば 飛騨のたくみがたてたるか 四方なげしに楔ひとつよ    (これ以外にもたくさんの歌がある)
埼玉県横瀬町芦ヶ久保
(白鬚神社)   
1 お寺様(神社様)今を盛りと打ち見れば、金の扉にさざん輝く    2 御家様むねは八ッむねひはだぶき、たれきじりには黄金はるなり    3 十七が今年はじめてささらする、良くも悪しくもほめて賜れ    4 物造り升を七桁持ちつれて、裏へ廻れば福の神かな    5 十七の胸に下がりし二ツ物、一ツおくりやれ恋の薬りに    6 お諏訪さま村のりょがんでささらする、はやる世波をよけてたまわれ    7 この宮は飛騨の匠の建てた宮、くさび一ツで四方かたまる    8 武蔵野に月の入るべき山も無し、小花がくれにふける横雲    9 新くわを千くそろえて種まけば、今年たわらのかぞが知れない    10 この村に花のあそびがござるげな、黄金まじりのしでがこぼれる    11 十七が今年はじめて国めぐり、関がつもりておやげないもの    12 天竺の権田河原の川上で、雌獅子雄獅子で結び合わせる    13 川こえて小坂登りて来てみれば、さてもみごとなお庭なるもの    14 この宿はたつが十五里横七里、入波よく見ろ出波にまような    15 荒川の関の麓のかさね波、これを見まねに急げ小ざさら    16 お殿様召した袴は七折り目、折り目折り目に少女重なる    17 何時までもあそびたけれど日もまわる、いとまもろうてかえる小ざさら
埼玉県川越市 石原
(観音寺)
1 この宿は 縦が十五里横七里 入りをよく見て出場に迷ふな    2 武蔵野に月の入るべき山もなし 雄花隠れに月は横雲    3 筑波山 中は籠山花咲いて 花を眺めて遊ぶ獅子どの    4 向ひ小山のうらうら雀 羽先を揃へてきりかはさいな    5 唐から下りし唐繪の屏風、さらりと一間へ立て廻はさいな    6 十七の胸にかざりし光もの 一つ下さい 國の土産に    7 日は暮れる 道の根笹に露が浮く おいとま申してもどる獅子どの    8 太鼓の胴をきりりとしめて ささらをさらりとすりとめさいな   
埼玉県狭山市 入曽
(金剛院・入間野神社)
1 この寺にあるべきものは 袈裟 衣 お経文箱に 唐かねの厨子    2 唐かねでかいをつくりて 壺にたて 壺の光でお寺輝く    3 この宮は飛騨の匠がたてたえな 四方しめたり楔ひとつ    4 やまがらが山をはなれて里にいで 今はさしこのすまいするもの    5 白鷺がかねの稲ぼをくわいきて これがお背戸のいくらぎにすむ    6 思いもよらぬ朝霧がおりて そこで牝獅子が隠されたえな    7 岩のすわえに牝獅子いて 岩を砕いて牝獅子たづねたいな    8 風にかすみを吹き上げて 牝獅子牡獅子が肩をならべた    
埼玉県飯能市 小瀬戸
(浅間神社)
1 ※この谷津は縦が十五里横七里 入り端よく見ろ出端に迷うな    2 下坂に歌の上手があると聞く いざや友達歌の稽古や    3 月も日も西へ西へとお引きやる いとま申して帰る十七里    4 桜木は板に取りても花が咲き 門に立てても花が咲き揃う         ※1番の歌は全ての演目で歌う
   これ以降は、Webサイトや書物等から引用させて頂きました
福井県小浜市
雲浜獅子
1 廻れや車、 みずぐるま 大崎廻れば せきにからまる    2 思いもよらぬ 朝霧おりて そこで雌獅子 かくされたよ    3 此頃は 岩に雌獅子が巣をかけて 岩をくだいて 雌獅子かくした    4 れんじゃくめいが、 腰に指したる中脇指は、鞘も目貫も小金巻きそうろう   5 嬉しやの 風にかすみをふきあげて 雌獅子、雄獅子が顔ならべた    6 むすばれし 五色に染めたる唐糸を 姫がほどけば ほろりほどける    7 山がらが、12のかいこをかいたてて 羽がいそろえて もんどりうつとや   8 十七・八の かみわけ姿を見る見るも 今のささらが気をちいがした   9 我が里に、 雨が降るやら雲が出る それをしるべに あとひきがはや   10 京から下りし唐絵の屏風、 ひとえにさらりと 引きまわした    11 奥のまは 生まれおつると 膝を折る  我も見まねに 小金折り膝    12 これのお庭を ながむれば、 小金小草が足にからまる    13 高みせの つづらかけごのふたとれて ジャ香がこぼれて におひおもしろ   14 荒川の鮎の魚さえもんどり打つは、 われも見まねにもんどり打たばや    15 かしも河らぎ、 切れも切れよと このまれて ならい申してかしの木ぎぼし   16 日は暮るる 道の根ざさに つゆがうく おいとま申して あとひきかばや
新潟県佐渡市小木町
小獅子舞
1 廻れ廻れの水車 おそく廻れ 堰に止まるよ 堰に止まるよ    2 此の宝蔵に参ろうと思へども 橋ばし木橋 遠くにとまれよ 遠くにとまれよ    3 此の宮は目出度の宮かな 音に聞えた飛騨の匠が 楔一つで 四方固めた 四方固めた   4 中獅子の腰に差したるしだれ柳の枝折り揃えて いざやめまうや いざやめまうや    5 いままで連れたる仔獅子奴が 高嶺のお庭で かくし奪われた かくし奪われた    6 何んと隠され牡獅子奴が牝獅子揃えて 尋ね会はんよ 尋ね会はんよ    7 霧や霞めて降り止めて 今こそ仔獅子 会うぞ嬉しや 会うぞ嬉しや    8 牡獅子牝獅子の嬉しさは 如何に心よねになるもの よねになるもの    9 浜千鳥波に打たれて たんとたあされた たんとたあきれた    10 一つとんだるキリギリス続いて跳ねる はやのはたおれ はやのはたおれ   11 太鼓の胴をきりりと締めてささらをあんで こきにこゆうて こきにこゆうて   12 黒雲が棚引き掛けて黒さは月の光も かなはざるもの かなはざるもの    13 立ち寄り聞けば面白や鼓の音 何時もたゆせぬ 何時もたゆせぬ    14 余り踊れば花が散る 行かんか友達 花の都へ 花の都へ   
埼玉県日高市
(高麗神社)   
1 この宮は 角の柱で 白金で 社壇黄金で 宮が輝く    2 千早振る 神の御末に 夢さめて 阿吽の二字を 聞くぞ喜ぶ    3 この町は 縦が十五里 横七里 入りはよく見て 出には迷うな    4 この町は 諸国人の お立ち会い おどりながらも 心はずかし    5 日は暮るる 道の根笹に 露もちて 暇もうすぞ いざや獅子どの
埼玉県桶川市三田原
(氷川社、八幡神社)   
1 詣り来て これの御宮を眺むれば 飛弾の匠が建てた家か 四方なげしにクサビひとつ    2 十七が これの社殿に手を掛けて 何を祈るや年の若さに    3 打つも太鼓 打たぬも太鼓 ワレとオレとの間へ来いな ワレとオレとの間へ来いな    4 鹿島から むらむら雀が 羽先を揃えて きりかへ来いな 羽先を揃えて きりかへ来いな    5 鹿島から むらむら雀が 羽先を揃えて きりかへ来いな 羽先を揃えて きりかへ来いな 花を散らして 遊びなさいな    6 道の芽笹に露が入る お暇申して いさかいさいな お暇申して いさかいさいな    7 夜は更ける眠くなる お暇申していさかいさいな お暇申して いさかいさいな   
埼玉県富士見市南畑
  
1 まわれや車 まわれや車 つれてまわれや水車よな    2 獅子の子は 京で生まれて伊勢育ち 腰にさしたは伊勢の御はらひ    3 おもいもよらぬ 朝霧がおりて ここで女獅子がかくされたよな    4 拾三から つれたひめ子にさそわれて 我が身ながらも尋ねたそうな    5 うれしやな 風が霞を吹き上げて ここで女獅子をたづねもうけたよ 6 奥山で 音の高きはくつわ虫 なりを静めて歌の節きけよな    7 この宮は 飛弾のたくみでが建てた宮 四方しめたよ一つくさびでな    8 お庭にさこう おしだれ柳 一枝折りて腰を休めろよな    9 浜千子が 坪の間世木に手をかけて 花も御千子も 見えもわからぬ    10 鶯が もんの株木に巣をかけて 蟻が上がれば なむやほけきょ    11 立鷺が 跡を走れば水すまぬ お庭あらさで 立てや友達よな    12 七つ拍子 八拍子よな 九つ小節は霧がこまかよ    13 拾七の髪結姿を 見る見るに 今のきりょをばきりをちがいた    14 天神前の梅切り雀 羽先をそろいてきりをかいさいな    15 奥山のうさぎは 何見て跳ねる 拾五夜お月を見てはねるよ    16 ささらを見たくば 板戸へ出しゃれ 板戸の上での三拍子よな    17 いつのめざめさに つゆもいらぬ おいとま申していざかいさいな   
東京都多摩市落合
(白山神社)
 昭和15年が最後の奉納
1 おもいもよらぬ朝霧がおりて そこで女獅子が隠され申した    2 うれしやなーい 風にかすみを吹き上げられて女獅子男獅子がかたならべた   3 松にからまるつたの葉も えんがつきればほろりとほごれる    4 友達の腰に咲へたるしたれ柳 一枝とめて腰をやすめる    5 この宝はなにたるはんじょがたてたやら 四方たれ木に金をのませて    6 しらさきの金をくわへてやつゞれて これのおせどのみくら木にすむ    7 みくら木の枝はいくつとながむれば 枝は九つ花は十六    8 十六の花に黄金がなりさがり これのおせどは名所なるもの    9 この金はなまり金かしら金か さても見事なすりたはりがね    10 たつさきが後をはしけば水すます 水もにごさず立てよ友達    11 此の寺にあるべきものはなになると お経小箱に唐金のじゅず    12 十七か二十四五まで親がかり 其れがういとてはしりてをする    13 はしりでて花の都で日がくれる 道をねござにそでをまくらに    14 道もきけ道のね笹のつゆもきけ 若いみなればたいじなるもの    15 鎌倉の由井が濱べの濱千鳥波にゆられてぱあんとたたれたよふおんせい   16 此の宿はたてが十五里横七里 入りはよく見て出はに迷ふな    17 われわれは四国西国めぐりきて 旅のつかれで曲がそろはぬよふおんせい   18 かしまからきりふしよう ならへと状ががきて ならへ申すよかしまきりぶし    19 やまがらが山にはなれてやつゞれて これの庭に羽をやすめろ    20 十七のかみまきすかた みろみろと 今朝のきりふしよおもいわすれた    21 友達尓きりよきりよとせめられて ならい申すよ三ひようひようし    22 むかいでは笛とたいこの音がする あれをみあてにおとりこをひよう    23 我等が国では雨が降るげで雲がたつ いささ吾等は後へひきやれ
神奈川県津久井町鳥屋
(諏訪神社)
1 この程を参る参ると申せども 橋は引橋飛ぶに及ばず    2 この橋を渡りながらも面白や 黄金駒寄白銀の橋    3 参り来てこれのお庭を見申せば 黄金小草が足にからまる    4 参り来て御宮作りを見申せば いかなる大工が建てたやら 九間八つ棟檜皮葺き くさび一つで四方堅めて    5 参り来てこれの書院を見申せば 磨き揃えて槍が五万本    6 五万本の槍をかつがせ出るなれば 四方はるかに殿の御上洛    7 参り来てこれの御馬屋を見申せば 繋ぎ揃えて駒が七匹    8 七匹の駒の毛色を見申せば 連銭葦毛に月額 柑子栗毛に墨の黒 蜜柑瓦毛鹿毛の駒 錆や月毛は神の召し駒    9 白鷺が羽根をくわえて八つ連れて これのお庭に腰を休めて    10 山雀の山に離れて八つ連れて これのお背戸のめくら木にとまる    11 めくら木の枝をいくつと眺むれば 枝は九つ花十六    12 十六の花をつくづくと眺むれば 黄金白銀咲き乱れ これのお背戸は名所なるもの    13 思いも寄らぬ朝霧が降りて そこで女獅子が隠されたよな いじゃしゃれ立ちて尋ねに行く    14 嬉し山 霧も霞も巻きあげて そこで女獅子が現れたよな    15 天竺のあいそめ川原のはたにこそ 宿世結びが神たたれた 宿世結びが神ならば 女獅子男獅子を結び合せる    16 向いの山で笛と太鼓の音がする いじゃしゃれ我等も参廟しやれ    17 鹿島から切るは切るはと責められて 習い申せばかしまきにまき    18 奥山の松にからまる蔦さえも 縁がつきればほろりほごれる    19 我等が里で雨が降るげで雲が立つ おいとま申していじゃとまもだち
東京都八王子市石川町
(御嶽神社・薬王院西蓮寺)
中神と類似のもの
中神と少し似たもの
1 此はどこ此はどこ 此は吉野の花どころよ 花を散して遊べよ御獅子    2 向ひ小山の百合花 つぼんで開いてぱっとたちそろ    3 これの御庭の姫小松 一枝とめて腰を休めろ    4 海のとなかの濱千鳥 波にゆられてぱっとたちそろ    5 三拍子は切りなれば 今の拍子をきりかへさいな    6 今朝の寒さに朝霧がおりて そこでめじしがかくされました    7 雲も霞も皆打拂ひ 男獅子雌獅子の肩ならべ    8 笹にとまりし群雀 羽先をそろへてぱっとたちそろ    9 毬や車 毬や車 車の如くに引まあさいな    10 天から降りし唐繪の屏風 一へにさらりと引まあさいな    11 おいらが里から文が来た よんで見たれば一寸こいとの文よ    12 雨が降りそで雲が出て おいとま申していざかいさいな    13 この寺は西も東も大寺で 中の小寺で施餓鬼遊ばす    14 此の宮はあまり高すぎて 落ちる木の葉も軒にとまらず    15 この宮は縦が十五里横七里 入場よく見て出場に迷ふな    16 磯村の宿の娘に目をくれて 言ふにや言はれぬ いざやたゝん    17 出て見れば面白い 唐で唐獅子 唐装束で 四方がための太刀を合せる    18 神のとりゐをくぐるときは いかなる悪魔も皆うちはらひ   
東京都昭島市中神
(熊野神社)
石川町と類似のもの
石川町と少し似たもの
1 この森に鷹がすむげに鈴の音 鷹じゃ御座らぬ御神楽の音    2 むかへ小山の百合の花 蕾んでひらいてさっとひらいて    3 ここはどこ此処は吉野の花見どころ 花を散して遊べ獅子候    4 天から降りた唐繪の屏風 一重にさらりと引きまいさいな    5 この宿は縦が十五里巾七里 入れは良く見よ出はに迷ふな    6 笹にとまりし群々雀 羽先を揃へてぱっと立ち候    7 今朝の寒さに朝霧が降りて それで女獅子が隠され申した    8 雲も霞も皆吹きはらし 女獅子男獅子が斯く並んだ    9 五十叢の宿の娘にめをくれて 居るにゃいられずいざ立たれん    10 この家は飛騨の大工が建てたしかや 門の衡木に鷹が巣をくふ    11 名主殿今が盛りと見へて候 書院座敷てお壺ながむる    12 ここの御庭の姫小松 一枝止めて腰休めろ    13 海のとなかの濱千鳥 浪に揺られてぱっと立ち候    14 三拍子の切りならば 今の拍子に切り返さいな    15 唐てからして唐獅子を引く 千越層堅めの太刀遊ばす    16 山が九つ谷が九つ これを又何れお出のお禮なるかや    17 獅子のしばなに露が降り お暇申していざ返さいな    
栃木県那須町大字高久丙
一ツ樅獅子舞
1 なりをしずめて おきやれ ささらの習いで 歌をよみそうろう    2 投げ草を出したお人は 末広く孫子多に まめに栄えよる みょうがなるもの    3 廻りは車 きょうから下る 唐いの屏風 ひといにさらりと廻りこめ    4 こらほどの 花のお庭で 遊ぶとて 心静かに 遊べ我が連れ    5 思いのほかに 朝日の方で ここで女獅子を隠された    6 うれしやら 風やかすみを ふきはらい これのお庭でつまよせ    7 松にからまる つたはなる えんがきれれば いざきれろ    8 たつさぎりは 後を思えば 立ちかねる 水も鳴らさぬ払い    9 国からも 急ぎもどれば ふみが来る おいとま申して家さ帰され   
獅子踊
岩手県盛岡市山岸
本田安次氏の日本の伝統芸能より
1   廻れ廻れ水車 お先廻れ せきに止まるな    2 是で獅子のからいのびよう風 一重に廻る 立てや廻はしろ    3 海のと中の濱千鳥 波にゆられしやんとゆれしや    4 向の小山の小百合の花は つぼんで開く 馬場廣げろ    5 つばくらは 四國西國廻れ共 是のお庭で羽を休めろ    6 友達の腰に差したるしだれ柳 枝折り葉折り 腰を休めろ    7 中立出ろよ 中立ち出ろよ 中立無けりや 庭はすめない    8 奥山へ 女獅子尋ねに行かんとすりや 奥の御山 霞かゝるな    9 思はぬ外に朝霧がおりて 是れの女獅子 かくしとられた    10 南無薬師 尋ぬるずんばに合はせてたもれ にしきのとどとよ かけてまいらしやろ    11 有難や 霧や霞や吹き拂ふて 今こそ女獅子 合とうれしや    12 何と女獅子かくしても ひとむらすゝき あけて尋ねろ    13 天竺天の 愛染川原のはたにこそ きぐさむすぶ 神のおふせかな    14 菊をむすぶ神なれや 我等も出でて 結び合せろ    15 朝の中なる女獅子をば 何とかくす おびき出しやうな    16 女達の たちをみださぬおもしろや 我等も出でて むすび會はせろ    17 京の獅子と田舎の獅子と 出合なれや くるや獅子哉    18 松嶋の 松をそだてゝ見やうとすれや つたはくせもの 松にからまる    19 白金を 劔につくりて刃を附て そろりそろりつたにからまる    20 松嶋の松にからまるつたの葉は 御えんがなくて そろりほごれろ     21 白さぎは あとを細んで立かねて いまだに立たぬ 立てや白さぎ    22 風車風のたよりで廻れ共 風は立ぬ 廻れ立もの    23 獅子は生れ落ちて道はねて ひとむら芒 あやのはたをり    24 遠山から きりぶしならいのふみわけて いまだにならむ 遠山きりぶし    25 さよこまは さよの中山越かねて 爪をそろい さよのこまかな    26 十七八 細谷川原の丸木橋 墨染染めて うろの袖かな    27 友達の 左たもとさ糸附けて そろりそろりと引きや嬉ぶ    28 天竺さ 梅と櫻が咲きみだれ 空を眺め 池やさゞ波    29 あの御宮へまいろとすれや 橋は高い 池のそり橋    30 太鼓の調べをきりきりしめて さゝらさつと是で納めろ   
鹿踊 (八つ鹿踊り)
岩手県江刺市
行山流鹿踊(久田踊)歌詞の一部
本田安次氏の日本の伝統芸能より
1 参り来てこれのやからを見申せば 八棟造にこけら葺 こけらの上に植えた唐松    2 唐松に鶴と亀とは巣をかけて 鶴は千年亀は萬劫経る    3 海のと中 濱千鳥 波にゆられ ざをと立ち候    4 廻れ廻れ水車 遅く廻れ 堰に止まるな    5 京で九貫の唐繪の屏風 立てや廻せろ    6 四方や響きの轡虫 鳴を静めて歌の節聞け    7 中立の腰にさしたる枝垂柳 枝節揃へ腰を憩めろ    8 廻れま拍子お庭を揃へ 太鼓早め遊べ友だち    9 二人出でておろすとは 出でて遊べ 鹿の八つ連れ    10 十三から是まで連れた雌鹿をば 是のお庭にかくし置かれた    11 何と雌鹿はかくれても 鹿を揃へ尋ね逢ふべし    12 あれ見ろや奥の深山だいしから 雌鹿雄鹿狂ひ鹿かな    13 白鷺は後を思へ立ちかねて 後を濁す立てや白鷺    14 一つ跳ろやきりぎりす 続いて跳ろ綾の機織    15 向かひ小山さ鶯は巣をかけて 子や産み候    16 我が里に雨が降るや雲が立つ お暇申せ急げ友だち    17 友だちの左袂糸つけて そろりそろり引けや横緒     18 友だちの太鼓のしらべきりりとしめて ささらを休めこれで納めろ    19 中立は京で生れて伊勢育ち 熊野の奥で腰を憩めろ    20 天竺の藍染川原肩にこそ きくさ結び神のたたれた     21 きくさ結は神ならば 我等に雌鹿結び合せろ    22 燕のとんぼかへりや面白や 羽先を揃へ きりかへさばよ   
会津の彼岸獅子
福島県会津若松市
本田安次氏の日本の伝統芸能より
1 この町は縦に十五里横七里 入りはよくみて出はに迷ふな    2 此弓は神にめされし弓なれば 天にひゞいてつる音がするらん    3 しも柱 氷のはりに雪のけた 雨のたるきにつゆのふきくさ    4 此寺の香の煙は細けれど 天にのぼりてむら雲となるらん    5 筑波ねのみねよりおつるみなの川 こひぞつもりて 淵となるらん    6 春風に玉のみすたれふきあげて 花のやうなる女郎百人    7 参りきてこれのお庭を眺むれば 黄金小草が足にからまる    8 天竺の逢染川の端にこそ關所結びの神が立たしやる     9 眞にも關所結びの神ならば 女獅子男獅子を合せ給ひや    10 此酒は何とこすべし御座の酒 音に聞えし加賀の菊酒   
会津 天寧彼岸獅子
福島県会津若松市
会津 天寧獅子Webサイトより
1 まことにも 関所結びの神ならば 雄獅子雌獅子を あわせ給えや   2 天は海 星はさざ波 月は船 かちろう子が 船ば見に立つ   3 大河の 小石小砂をふみ分けて おんまいるも させのごえんや  4 せいめいの これのお前にて 踊りそめ 踊りながらも みそめなるらん  5 この酒は なんとこすべし お庭のしの 音にきこえし加賀の菊酒  6 ここのお座敷ながむれば 穂先そろえて 槍千本   7 大寺の 香の煙は細けれど 天にのぼりて むら雲となるらん  8 参り来て これのお庭を眺むれば 黄金小草が 足にからまる  9 この弓は 神に召されし弓なれば 天にひびいて 弦音がするらん 
栗生沢 三ツ獅子
福島県南会津町栗生沢
Webサイトより
1 友達の引いてなされしこの獅子を、我等が被るご免くだされ    2 舞り来て四方の庭を眺めれば四方清めの枡形の庭    3 天神の龍の駒石に獅子がつまづきご免くだされ    4 天は海、星はさざなみ、月は船 かづらうの漕がうぞよ達  
埼玉県飯能市上名栗
(星宮神社)
檜淵神社と類似のもの
嘉永年間に檜淵神社に伝授したとのことでほとんど一致している。
1 この芝は たてが十五里 横七里 入芝(いれは)よく見て 出芝(では)に迷うな    2 晴れ晴れと これのお庭を 眺むれば 黄金小菊が 足にからまる    3    禰宜殿は 今を盛りと 打ちみれば 四方あまたに お宮をもたれる    4    桜木を板に挽かせて 門に立て 門に立てても 花が咲き揃う    5 この宮は 四方八棟ツ 檜皮ぶき くさび一つで 四方かためる    6 千早ふる 神の華表(とりい)に松を植え 待つもろともに 氏子繁盛    7 見渡せば 檜(ひのき)さわらを植え混ぜて さても見事な お宮づくり    8 桜木を板に挽かせて 門に立て 門に立てても 花が咲き揃う    9 武蔵野は 月の入るべき 山もなし 尾花がくれに 引けよ横雲    10 日は暮れる 道の小草に露を待つ おいとま申して 帰り御座候   
埼玉県飯能市上名栗
(檜淵神社)
星宮神社と類似のもの
嘉永年間に星宮神社から伝授されたとのことでほとんど一致している。
1 この芝は たてが十五里 よこ七里 いれはよく見て 出はに迷うな    2 桜木を板にひき 板にひかせて 門に立て 門に立てても 花が咲き候    3 この宮は 四方やつむね ひわだぶき くさび一つで 四方かためる    4 はるばると あれのお庭を ながむれば こがね小菊が 足にからまる    5 千早ふる 神の鳥居に 松をうえ 待つもろともに 氏子繁昌    6 見渡せば 檜(ひのき)椹(さわら)をうえつけて さても見事な お宮づくり    7 庄やどの 今がさかりと うち見えて みがきそろえた やりが五万本    8 明神どの 今がさかりと うちみえて 四方あまたに お宮もたれる    9 武蔵野に 月の入るべく 山もなし おばなかくれに 引けよ横雲    10 日もくるる 道の小草に つゆもいる おいとま申して 帰り御座候   
東京都武蔵村山市
横中馬
1 回れや車が、遅く回りて堰に止るな、遅く回りて堰に止るな      2 牡丹桜が咲き乱れ、雌獅子雄獅子が花を眺める      3 雨に嵐がしげ暮れて、そこで雌獅子が隠されたいな      4 岩に雌獅子が巣を掛けて、岩を砕いて雄獅子たずねる      5 風に嵐か吹き上げて、雌獅子雄獅子が肩を並べる      6 松山の松にからまる葛の葉も、縁が尽きればほろりほぐれる      7 日が暮れて道の御芝に露掛けて、お暇申せば日が映いたいな      8 山雀が、山を離れて里に出て、黄金の庭に踊りあそばす      9 この獅子は、伊勢に生まれて伊勢育ち、腰に挿したは伊勢の御祓い   
千葉県船橋市
小室町
1 ちはやぶる 神の鳥居を くぐり来て 穢れ不浄も霧雲となる      2 なりを静めて お聞き有れ あまりなるのに 歌が詠まれぬ      3 大寺の 香の煙は 細けれど 天へあがりて 霧雲となる      4 庭の砂子を 踏みわけて 寺へ参るも のちの世のため     
東京都町田市
金井の獅子舞
1 まわれや車 水ぐるま おそくまわりて せきにとまるな     2 かしま志や なりを志づめて おきゝやんれい     3 是のお庭の志だれ柳 一ト枝たぐめて 腰を休める 一ト枝たぐめて 腰を休める     4 志ら鷺が 羽を加へて 八ツ連れて 是のお庭の三くら木にすむ 是のお庭の三くら木にすむ     5 三くら木に枝ハ いくつとながむれば 枝ハ九ツ花は十六 枝ハ九ツ花は十六     6 十六の花に小金が 咲きミだれ 是のお庭の名所なるもの 是のお庭の名所なるもの     7 たつさぎが あとをにごせば はづかしうや 水をにごさせ たてやともだち 水をにごさせ たてやともだち     8 思いもよらぬ 朝ぎりがおりて こゝで め獅子がかくされたよな こゝで め獅子がかくされたよな     9 なんと め獅子をかくいても 是の お庭で巡りあうよな 是の お庭で巡りあうよな     10 宇れしや 風が霧を吹き上げて め獅子 お獅子が かたをならべる め獅子 お獅子が かたをならべる     11 かしま加ら きりぶし習えと じょうがきて 習いもふすよ かしまき里ぶし 習いもふすよ かしまき里ぶし     12 山がらが さしこのうちで もんどりをきる あれをみまねに おどりこびょふし あれをみまねに おどりこびょふし     13 法どの竹と 今年の竹と 今ほこ竹で ふしがそろわぬ 今ほこ竹で ふしがそろわぬ     14 七ツびょうし 八ツ拍子よな 九ツ小びょうし 三拍子よな 九ツ小びょうし 三拍子よな     15 奥山の松にからまる 蔦さぎも えんがつきれば ほろりほごれる えんがつきれば ほろりほごれる     16 わが里へ 雨がふるそで 雲がたつ おいとま申して いざやともだち おいとま申して いざやともだち     17 十七が二十七まで 親にかゝりて 夫がういとて 走り出をする     18 走り出て 花の都でひがくれて 道を寝ござに 袖をまくらに     19 道もきけ 根笹の露もおききやれ 若い身なれば 大事成るもの
   石川 博司氏の著作より (場所によっては、現在では歌われなくなってしまったものを含む)
大田区
大森の水止舞
1 十三からは連れしまわれし女水止をば 今こそここに隠しおかれた     2 何と女獅子が隠れても 尾花隠しで姿見にめそや     3 白銀で剣を作りし刃を付けて 女獅子男獅子があいを切らばや     4 見渡せば雲も霞も吹きあらし 女獅子男獅子が会うぞ嬉しや     5 七つ子が中の袴を縫いそめて 清水河原にとうのに送られた     6 鹿島河原へ獅子を習えろ文がきて なろべもの鹿島六つ切り     7 武蔵野の入江に立つも時を経て のりのお庭で舞うぞ嬉しや     8 我が里に雲もたつやら雨が降る お暇申していざかへもうす     9 この寺に施餓鬼あるとは夢知らず 遅く参れば後生の障り    
大田区
六郷の獅子舞
1 京からくだった唐画びょうぶひとえにしゃんとシシマイさような     2 山家のウサグはなに見てはねる小池の子フナを見てはねるさような     3 たいこの胴をきりりとしめてササラをしゃんとすりあげさような     4 思いもよらぬ朝霧がおりてそこでメジシがかくされたような     5 なんぼメジシがかくれても青葉のまくれでメジシかくれさような     6 この宿にメジシがすむときく岩をくずしてメジシかくれさような     7 奥山のマツにからまるツタの葉も縁がきれればほろほろ散るとな     8 天竺の音の高きのクツワムシなりをしずめて歌の拍子木ようほいな     9 この宮はなにたる番匠が建てたやら四方しめたるクサビ一つでようほいな 七つ拍子よ八つ拍子ようほいな     10 筑波山が南さがりのヤエザクラ八重につぼんで1重に散るとな    
板橋区
赤塚の獅子舞
1 静まりてきりと拍子をごらんなり あまりなるには歌が詠まれぬ     2 京から降るからいのひょうぶに たったひといにとりまげさまよ     3 千早振る神のいがきに苔生えて それも久しき氏子なるらん     4 住吉の杉に雀が巣をかけて さぞや雀も心嬉しや     5 此乃寺は なになる大工がたてたるや 四方志めるに くさび壱本     6 ここはどこ さかる志ほやの にわなれど あそびながらも心うれしや     7 此の宿は ながいしく ながけれどいれはよくみて ではにまような    
板橋区
徳丸の獅子舞
1 ここはどこどこ盛るさんやの庭なれば 遊びながらも心面白や     2 このお宮は何たる大工が建てたやら 四方四面に楔一つや     3 住吉の杉へ雀が巣をかけた さぞや雀が住みよかろう     4 月星は西へ西へとおいでやる いざや友よ宿へ戻ろうや     5 神のゑ垣に松植ゑて、松は諸共氏子栄える     6 鎮まりてきりと拍子をお聞きやれ、あまり名のると唄が詠まれん     7 この寺の香の煙は細けれど、天に昇りて黒煙となるらん    
清瀬市
清瀬の獅子舞
1 この森に鷹が住むげて住まぬやら 鷹じゃござらぬみ神楽の音     2 千早振る神の生垣に苔生えて 我らも古き氏子なるもの     3 杉よし雀が巣をかけて さぞや雀も住みよかろう     4 参り来てこれのお山を眺むれば 三社の神が光輝く     5 この寺に施餓鬼ありとは夢知らず 遅く参りて後世のさまたげ     6 参り来てこれの仏壇眺むれば 香の煙が花と輝く     7 日が暮れて道の根笹に露上げて 我らも早く宿に戻ろう    
調布市
下石原の獅子舞
1 雨霰雪や氷をへだつれど 溶くれば同じ谷川の水静まり    2 手毬と拍子をお聞きやれ 余り馴るれば唄が詠まれぬ    
東大和市
高木の獅子舞
1 京から下る唐絵の屏風 一重にさらりと引きまわさよな     2 廻れや車 廻れや車     3 お庭の拍子一踏み踏んで 申さような     4 十七の切り 切れよ切れよ責められて     5 寄せ拍子よな 打ち来る波のよせびよしな     6 七ツ拍子八ツ拍子 九ツ拍子 整い拍子な     7 打つ手も太鼓 打たぬも太鼓 あなたこなたの相太鼓よな     8 思いもよらぬ朝霧が降りて そこで女獅子が隠されたよな     9 風に霞を吹き上げて 女獅子男獅子が方を並べた     10 天に星なる三日月の雲立ちに 月に一度の雄の角並べた     11 道の女笹に露がいて お暇申していざさいさよな    
立川市
立川の獅子舞
1 廻れや車水車 遅く廻りて関に迷うな     2 向ひでは笛と太鼓の音がする いざさら我等も踊り子よな     3 鹿島からきりぶし習えと状がきて 習い申すよ鹿島きりぶし     4 思いもよらぬ朝霧がおりて そこで女獅子が隠されたよ     5 うれしやの風の霞を吹き上げて 女獅子男獅子が方を並べる     6 松山の松にからまる蔦の葉も 縁が尽きればほろりほろりよ     7 これのお庭へこしだれ柳 一枝とめて腰を休めろ     8 年々に月日かわらぬ月見月 下の七日にまつる氏神     9 この殿の館造りとうち見えて 黄金柱をひきや揃えて     10 白かねのめざすをざすを組み上げて 明日は館の棟上げて候     11 棟上げの棟の祝いに何々を 帯が七かけ太刀が七振り     12 立つ鷺も後を恥じれば水すます 後をにごさで立てや友達     13 鎌倉の由比が浜の浜千鳥 波にゆられてぱっと立ち候     14 かしましや鳴りを静めてお聞きやれ 森も林も蝉の空声     15 この町は縦が十五里横七里 あひをきらさでおりたたかみせ     16 たかみせのつづら籠の蓋はねて じゃこうこぼれて匂い面白や     17 我々は四国西国廻り来て 旅の疲れでふしが揃わぬ     18 十七が髪だれ姿を見ろ見ろと 意のきりぶし思い忘れる     19 山雀がさし籠の内で戻りきる いざさら我等も戻りこよな     20 さらさらとうちくる波は後へ引く いざさら我等も後へ引く    
山梨県
丹波山の獅子舞
1 この森にタカが巣をかけ鈴の音 鈴じゃあるまい御かぐらの音     2 この庭は良い日良い月築立てて 月に三度の米が降りそろ     3 これのお庭の見てあれば 黄金小笹に米が降りそろ     4 鍵取りが蔵の出口で昼寝して 黄金枕で米をふみそろ     5 この獅子は悪魔を払う獅子なれど 余りせくとて角がもげそう     6 鳥居垣苔生えて 参る氏子は繁盛なるもん     7 この宮は襞の工の建てし宮 くさび一つで四方を固める     8 この宿は縦が十五里横七里 入場よく見て出場に迷うな     9 千本松万本小竹にシメ張りて いじこ集まり京のお祭り     10 冨士のお山の手かけ松 一枚たぐめて腰を休める     11 やまがらが山をはなれて三つ連れで これのお森で羽を休める     12 しらさぎがこれのご門を飛び時は 祈り落さんこれの神主     13 身をほやしやこれの旦那の身をほしや 黄金足駄でおつぼ眺める     14 京から下りし唐絵の屏風 一重にさらりと引き廻わしゃいな     15 廻れや車は水車 早く廻りて関所を廻る     16 月も日も西へ西へと尾を引きやーる お花がくれに引けよ小雲     17 日は暮れる道の小草に露がもつ お暇申していだ帰らない     18 今朝の寒さに朝霧が降りて そこで女獅子がかくされた    
山梨県
小菅の獅子舞
1 参り来てこれのお庭を見もうせば 黄金小草が足にからまる     2 この獅子は悪魔祓いの獅子なれば 余り狂うて角をもがれる     3 武蔵野に月の入るべき山もなし 尾花がくれに曳けやともだち    
山梨県
上野原町の獅子舞
1 京から下る唐絵の屏風 一重にさらりと引き廻さいな     2 この獅子はいあなる獅子とおぼしめす 悪魔をはらう獅子なれば あまりせこしく角をもがさじ     3 東間峠で雨が降るげて雲が立つ お暇申していざかいさいな    
山梨県
日原の獅子舞
1 東さまなる玉のすだれを巻き上げて 前のささらをお目にかきょな     2 この獅子は悪魔ふせぎの獅子なれば 関を許して通せて給(たま)う     3 関守が関を許して通せれば 角をもがせてせんもなし     4 獅子を見たくば床の間へござれ 床の間の前での三拍獅子かな     5 これのお庭の姫小松 ひと枝たごめて腰を休めろ     6 海のとなかの浜千鳥 波にゆられてぱいと立つよな     7 年の1つも若いおりゃ 今が狂いの盛り立つよな     8 御日も御月も西へ西へとお出でやる さあこそ東はすけなかあろよな     9 京から下さる唐絵のびょうぶ 一重にさらりと引き回さありょな     10 桜色なる稚児7人 筆とすずりを手に持ちて 天から落ちる露をまき候     11 まりかけまりか4天のわざか 心静かに見とめ給え     12 まことに火伏の神なれば 雌獅子雄獅子を結び合わせろ     13 東峠で雨が降るげで雲が立つ おいとま申していざかえらりょな     14 村々勧めて太鼓の胴をきりりと締めて ささらをさらりと切り替えましょ     15 ころ程の花の都と参り来て 供連れに切りを切りをとせめられて 習い請けたる賀島桐(きり)ぶし     16 京からくだる右近の桜左近の桜を 心静かに見とめて給う     17 松にからまるまるつたさえも 縁がつきればほどれるなり     18 武蔵野に月の入るべき山もなし 尾花がくれを引ける横雲     19 西田山東大川中島に 立ちたるお寺の名所かな     20 これのお庭に立ちたるさまは かけおく物は何やら知れぬ 尋ね出してお目にかきょな     21 天竺天王愛染川原の端にこそ 火伏結びの神の立つよな     22 まことに火伏の神ならば 火伏結びの神の立つよな     23 秋くれば蝉も鳴くげに しおれて末も栄えける     24 源氏重宝友切丸で 二本剣を舞い舞い給う     25 悪事災難これないように 二本剣を舞い舞い給う     26 参り来てこれのお庭をながむれば 黄金(こがね)小草が足にからまる     27 天の岩戸の御幣なれば 心静かに見留めて給え     28 今朝の寒さに初霧がおりて そこで雌獅子が隠されたよ     29 岩に雌獅子が巣をかけて いれをくずして雌獅子尋ねろ     30 獅子に雌獅子が隠されて 心ならずの苦しい獅子かな    
山梨県
猪丸の獅子舞
1 京から下るは 唐絵の屏風 一重にさらりと 引き回さいな     2 ここはいずこ ここは吉野の花の中 花を散らして 遊べ獅子ども     3 国から文が来たを読んで 見たれば来いと書いた     4 かぎ島が 宮の出口で昼寝して 銭をまくらに 米をふまいで     5 西も東も大寺で 御本尊前で 御教(おきょう)を 召さるるかな     6 これのお庭の 姫小松 1枝たぐめて 腰を休めろ     7 海の外中の 浜千鳥 永井ミツエに揺られて ぱいとかあ千鳥     8 三拍子が きりなならば 今の拍子を きりかいさいな     9 月日も西へ西へと おいりなさる おいとま申して いざかいさいな     10 東間(あずま)峠で 雨が降るげで雲が立つ おいとま申していざかいさいな     11 参り来て これのお庭を見申せば 黄金(こがね)小草が足にからまる     12 今朝の寒さに 朝霧がおりて そこで雌獅子が 隠されたよ     13 霧もかすみも 吹き晴れて 雌獅子雄獅子の 肩を並べろ     14 松にからまるつたさえも 縁がつきれば ころりとほどれる     15 武蔵野に 月の入るべき山もなし 尾花がくれの 引けよ横雲    
山梨県
大垣外の獅子舞
1 京から下りの 唐絵の屏風 一重にさらりと 引き回さよな     2 一重にさらりと 引き回さよな せいきょまん ソーライ     3 霧と霞を吹き払い 雌獅子 雄獅子の肩並べろ 雌獅子 雄獅子の肩並べろ     4 日が暮れるが 道のめざさに 露が入る おいとま申して いさ帰さよな おいとま申して いさ帰さよな     5 数馬峠に 日はまだあるが おいとま申して いさかえさよな     6 西原下りの 馬方衆が 長い手綱を 引き回さよな     7 これのお庭の 姫小松 1枝かごめて 腰を休めろ     8 海野となかの 浜千鳥 永井ミツエに揺られて ぽいと立ち去る     9 三拍子の切りならば 今のところを繰り返しさよな 今のところを繰り返しさよな     10 太鼓の胴をきりりとしめて ささらをそろえて すりかえさよな ささらをそろえて すりかえさよな     11 今朝の寒さに 朝霧がおりて そこで雌獅子が隠されたような     12 奥山の松にからまる 岩づささえも 縁がつきれば ころりほごれる 縁がつきれば ころりほごれる    
山梨県
小伏の獅子舞
1 京から下がる唐絵のびょうぶ 一重にさらりと引回さいな    2 この獅子は悪魔防ぎの獅子なれば 関を許して通せ給(たま)え     3 獅子を見たくば床の間へござれ 床の間の前での三拍獅子かな     4 これのお庭の姫小松 一枝たおめて腰を休めろ     5 海の途中の浜千鳥 波にゆられてぱいと立つよな     6 年の一つも若い時ゃ 今が狂いのさかり立つよな     7 お日もお月も西へ西へとおいでやる さこそ東はすげなかろよな     8 京から下さる唐絵のびょうぶ 一重にさらりと引き回さいな     9 桜色なる稚子が7人 筆とすずりを手に持ちて 天から落ちる露を持ち候     10 京から下さる右近の桜に左近の桜 心静かに見留め給え     11 まりかけまりか四天のわざか 心静かに見留め給え     12 天竺天皇あいそめ河原の間にこそ 火伏結びの神が立つよな     13 まことの火伏の神なれば 雌獅子雄獅子を結び合わせろ     14 東峠で雨が降るげに雲が立つ おいとま申していざ帰らりょな     15 村々すすめて太鼓の胴をきりりと締めて ささらをさらりと切り替えましょな     16 西田山東大川中島に 立ちたるお寺の名所かな     17 天の岩戸の御幣ならば 心静かに見留め給え     18 今朝の寒さに朝霧がおりて そこで雌獅子が隠されたよ     19 岩に背巣獅子が巣をかけた 岩をくずして雌獅子尋ねろ     20 獅子に雌獅子が隠されて 心ならずの狂いし獅子かな     21 東峠で雨が降るげに雲が立つ おいとま申していざ帰らりょな     22 これのお庭に立ちたるかさに 掛けおきものは何やら知れぬ 尋ねい出してお目にかけよな     23 参り来てこれのお庭をながむれば 黄金(こがね)小草が足にからまる     24 源氏重宝友切丸で 二本剣を舞い給う     25 悪事再燃これなきように 二本剣を舞い給う     26 松にからまるつたさえも 縁がつきればほどれるなり    
山梨県
藤尾の獅子舞
1 東さまなる玉のすだれを巻き上げて 舞のささらをお目にかけよな     2 この獅子は悪魔ふせぎの獅子なれば 関守が関を許して通せ給う     3 関守が関を許して通すれば 角をもがせてせんもなし     4 年の一つも若いおりゃ 今が狂いの盛りだつもな     5 これのお庭の姫小松 一枝たおめて腰を休めよ     6 海のとなかの三本竹 波に揺られてぱいとたつもな     7 獅子を見たくば床の間へござれ 床の間の前での三拍獅子かな     8 お日もお月も西へ西へとおいでやる さあこそ東はすげの川原よ     9 京から下さる唐絵のびょうぶ 一重にさらりと引き回さよな     10 西田山東大川中島に 立ちたるお寺の名所かな     11 まりかけまりか四天のわざか 尋ねいだしてお目にかけよな     12 天竺天のあいそめ河原のはたにこそ 火伏結びの神の河原よ     13 まことの火伏の神なれば 雌獅子雄獅子を結び合わせよ    
山梨県
猪丸の獅子舞
1 京から下るは 唐絵の屏風 一重にさらりと 引き回さいな     2 ここはいずこ ここは吉野の花の中 花を散らして 遊べ獅子ども     3 国から文が来たを読んで 見たれば来いと書いた     4 鍵取りが 宮の出口で昼寝して 銭を枕に 米を踏まいで     5 西も東も大寺で 御本尊前で 御教(おきょう)を 召さるるかな     6 これのお庭の 姫小松 一枝たぐめて 腰を休めろ     7 海の外中の 浜千鳥 波に揺られて ぱいとかあ千鳥     8 三拍子が きりなならば 今の拍子を きりかいさいな     9 月日も西へ西へと おいりなさる おいとま申して いざかいさいな     10 この森は鷹が住むげで鈴の音 鷹じゃござらぬお御神楽の鈴     11 松にからまるつたさえも 縁がつきれば ころりとほどれる     12 武蔵野に 月の入るべき山もなし 尾花がくれの 引けよ横雲     13 この獅子はいかなる獅子とおぼし召す 悪魔を祓う獅子なれば あまりせこくて 角をもがすな     14 東間(あずま)峠で 雨が降るげで雲が立つ おいとま申していざかいさいな    

(2004/11/14追加)
高水山(大丹波と下名栗を含む)の獅子舞歌の中で、他地区にあまり見られない「磯村の宿の娘に目がくれて 居るにゃ居られずいざや立たいな」という歌については、八王子市石川町と昭島市中神に同様の歌があることがわかった。このことからもしかしたら、この2カ所の獅子舞は高水山と系統の近い獅子舞かと思われたが、他の歌を比較してみるとどうも類似の歌があまり多くはなかった。(共通する語彙はいくつかあるのだが、全体でみると同様であると見なせる歌はあまり見あたらない。獅子舞歌の一致率は甘く見積もっても10%にとどかない。) したがって、これらの獅子舞と高水山の獅子舞はさほど近い系統の獅子舞とは言えないであろう。 実際、中神の「竿懸り」をビデオで拝見したことがあったが、芸態は高水山の「竿懸り」とかなり異なっていた。(石川町のものはまだ拝見したことがないが、やはりかなり異なるのではないだろうか。)
 しかし、八王子市石川町と昭島市中神の2つの獅子舞の間では、類似の歌詞が多くその一致率は66〜70%にものぼる。(石川町18首中12首、中神17首中12首が同様な歌である。)したがってこの2カ所の獅子舞同士は、ある程度近い系統の獅子舞である可能性が考えられる。

 一方、歌詞の類似性だけから獅子舞の系統を探るにはかなりの困難さもあることに気がついた。先日、本田安次氏の著作で、各地の獅子舞歌を拝見していたら、はるか遠方の相当隔たりのある獅子舞でも、歌詞に共通する語彙が多く驚いた。上記の表の最後の方に岩手県江刺市の鹿踊りの歌詞を同氏の著作から掲載させていただいたが、これを見ると東京西部の獅子舞とさほど差があるとも思えない。
 東北地方の八頭立ての鹿踊りと西多摩地方の三匹獅子舞が近いはずもないが、歌詞だけみると西多摩地方の三匹獅子舞と間違うくらいである。このことは、八つ鹿踊も三匹獅子舞も共に風流系の民俗芸能であることを意味するが、それ以外にこれらの芸能の成り立ちについて様々なことを示唆するものであると思われる。

相模原の獅子舞は奥多摩から伝えられたのか

下九沢 歌詞

(2004/11/21追加) 先日11月20日に、相模原市制50周年記念フェスティバルが行われ、特設ステージにて相模原市内に伝わる三カ所の獅子舞(田名八幡宮、大島諏訪明神、下久沢御獄神社)が披露された。簡便な特設ステージということで、実際の祭礼のように舞うわけにいかず、多少省略されたものであったとも思うが、それでもおおよその芸態はうかがうことができた。
このときのパンフレットには大島と下九沢の獅子舞は文化文政年間に奥多摩から伝えられたと記されており、以前テレビ神奈川で放映されたときにも下九沢の獅子舞は奥多摩町小留浦から伝えられたと紹介されていたが、これは疑問に感じるところが多い。
 まず、奥多摩地方のものは一般に演目数が多く、獅子舞も朝から終日行われるものであるが、相模原地方のものは演目数は一つだけであり、終了までに要する時間も30〜40分程度である。獅子頭の呼び方もその形態も違い、奥多摩地方の獅子頭には頭髪に鳥の羽根が使われているが、相模原地方のものはそうではない。また、ササラ擦りの人数やその他の諸役についても異なるところが多い。
 笛は検証していないが、獅子舞歌の歌詞についても類似の歌がわずかで、この説には疑問を感じる。上の表の中段あたりに、奥多摩町小留浦と相模原市下九沢の獅子舞歌を載せたが、両者にはかなり甘く見積もっても似ている歌が3首しかなく、その一致率は10%以下であると言える。これらのことから、相模原市下九沢と奥多摩町小留浦の獅子舞の近縁関係はかなり薄いと個人的には考える。
 下九沢や大島に伝えられる「日本獅子舞之由来(日本獅子舞来由)」については、通説通り奥多摩町小留浦を大元の出所先と考えてよいであろう。ただし、この秘伝書は上記の理由から免許皆伝の証として伝えられたものとは考えにくく、獅子舞自体とリンクしたものではないと考えられる。

  
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